当医院では近視予防に力を入れております。
①近視の進行と予防について
近視になる原因には、大きくわけて調節ラグなどの「遺伝要因」と「環境要因」があります。
強い近視は「遺伝要因」の影響が大きく、軽度の近視では「環境要因」が強いと考えられています。
最近の調査では小学生の1/4、中学生の1/2以上が裸眼視力1.0未満となっており、さらに低下傾向が続いています。
その原因としてスマホ、TVゲーム、パソコンなど近くを注視する機会が増えて「環境要因」による近視化を招きやすくなったためと考えられています。
当院では近視の進行を止めるためにアトロピンという目薬を薄めて点眼するという治療をしております。日本ではまだこの治療をやっている施設は少ないですが海外の研究発表では非常に副作用が少なく、十分な近視抑制効果が得られるとい
うことが言われております。
将来的にはこの治療法は近視抑制のもっともポピュラーなものになってくると考えております。
従来アトロピンは強い散瞳作用があるということで、古くから弱視治療や網膜剥離の予防の目薬として使用されてきました。またピント調整麻痺作用があり、斜視や弱視の診断にはかかせないものになっています。
近視の進行抑制にも効果があることはわかっていたのですが、散瞳作用があるために、まぶしくなったり、ピント調節麻痺作用のために読み書きが困難になったりで、近視予防には使えないとされてきました。
近年アトロピンは濃度を薄くしても効果は十分にあるということで、再び近視予防に使われはじめました。
ある程度の希釈すれば副作用は殆どなく、近視の進行がみこまれる子供達には非常に有効な手段となります。
近視は小学校低学年から高校くらいまで進行する危険性がありますので、長期に渡って使用を続けることになりますが、1〜2年を目安に加療を行っております。
お気軽にご相談ください。
②小学生のアトロピン点眼による近視予防の一例
携帯ゲームが大好きなお子さま
視力1.0とはほぼ100点満点の視力と日本の眼科では判断しています。
H27年6月
右眼視力 1.0 屈折値(近視-0.12D 乱視-0.37D)
左眼視力 0.7 屈折値(近視-0.37D 乱視-0.12D)
従来の眼科の仮性近視治療点眼ミドリンM点眼(0.4%トロピカミド)を睡眠前
のみ 1日1回の点眼処方を行う。
7月
右眼視力 0.8 屈折値(近視-0.12Dのみ)
左眼視力 0.6 屈折値(近視-0.12D 乱視-0.62D)
8月
右眼視力 1.0 屈折値(近視-0.12D 乱視-0.50D)
左眼視力 0.6 屈折値(近視-0.37D 乱視-0.37D)
10月
右眼視力 1.0 屈折値(乱視-0.25D)
右眼:ミドリンM点眼就眠前1回
左眼視力 0.7 屈折値(近視-0.25D 乱視-0.50D)
左眼:極低濃度アトロピン点眼就眠前1回
11月
右眼視力 1.0 屈折値(乱視-0.25D)
左眼視力 0.7 屈折値(近視-0.25D 乱視-0.50D)
両眼:極低濃度アトロピン点眼就眠前1回
12月
右眼視力 1.0 屈折値(乱視-0.50D)
左眼視力 0.7 屈折値(乱視-0.50D)
H28年
1月
右眼視力 1.2P 屈折値(遠視+0.25D 乱視-0.50D)
左眼視力 0.8P 屈折値(近視-0.25Dプラス 乱視-0.25D)
2月
右眼視力 1.2P 屈折値(遠視+0.25D 乱視-0.50D)
左眼視力 0.9P 屈折値(±0.0D 正視のデータとなる!)
★夢前川の子供達や小豆島寒霞渓
30年前から50年前の子供達は、海や川や山で精一杯遊んで暮らしていました。
視力2.0の学童も沢山いました。
今の子供は携帯電話やTVゲームなどにより長時間近くを見る頻度が過剰に多くなってしまいました。
電磁波、特にマイクロウェーブはあるパターンで携帯電話機器から発生していますが、眼への影響はまだ明らかな事は分かっていません。